経営戦略とは

企業が競争優位を築くためには、だれに対してどのような価値を提供して勝つのか、どのような儲けの仕組みを構築するのか、どのように勝ちパターンを永続させるのか、などを考える必要がある。たとえば『競争の戦略』で知られるマイケル・ポーターは、①コスト・リーダーシップ、②差別化、③集中、という企業の3つの「基本戦略」を、そして企業はこれらの3つの戦略の中から1つを重点的に行なっているという競争戦略を提示した。ここで経営戦略論を分析することとしたい。

 

まず、コスト・リーダーシップについて述べる。企業の戦略の目標は「利益」の最大化であり、企業価値を高めることでもある。この場合、売上げを大きくするか、コストを小さくするかのいずれか、または両方が必要となる。さらに利益を継続的に確保するためには、「コスト優位」を築く必要がある。このコスト優位を作るためには、「経験曲線」がひとつの方法である。「経験曲線」とは、「ある製品の累積生産量が2倍になると実質コストは一定の割合で低下する」というものである。経験曲線の事例として半導体メーカー等があり、組織としての継続的な業務改善や設備の改良、作業の専門化や標準化、さらに技術革新などによりコストの低下につながった。また大量の生産ができると、原料を他社より安価に調達できる「規模の利益」も発生することとなる。たとえば、コンピュータ業界におけるメインフレームの進化の初期段階においては、その能力や処理速度は主だった顧客のニーズを十分に満たしていなかった。このような商品機能が顧客のニーズを十分に満たしていない段階であれば、一般的に最も儲かるのは、最終消費者向け商品を設計・生産する垂直統合型企業である。垂直統合型企業はコスト面で有利になり、規模の経済が高まるのである。こうしてIBMは、垂直統合が進んだ企業として、市場シェアを上回る業界全体の利益を稼ぎ出したのである。それではコンピュータ業界において、他社はどのような戦略を立てるのか。IBMと同様に垂直統合を進め追随するのか、あるいは新戦略を立てるのか。こうした状況下では、IBMと同じ競争をしようとしても通常は失敗する。したがって、競争方法を転換していく必要がある。たとえば一般的な顧客のニーズを上回る柔軟性の高い商品をもっと迅速に市場に導入し、以前よりずっと小さなニッチ市場の顧客ニーズに応えるように商品をカスタマイズしていく。デルコンピュータはIBMより商品が優れているというよりむしろ、競争のスピードや利便性、カスタマイズ性に優る顧客仕様の戦略を取った。つまり、規模の経済が高まり差別化の機会が大きくなる段階において、大きな利益を生み出す事業領域の次のシフトを予期し、他社に追随するのではなく他社の戦略や段階に応じて行動を変え、ブルー・オーシャンを生み出したのである。


次に、差別化について述べる。コストが同じでも、他者と違うものを提供することで顧客が選んでくれれば有利だ、という発想が差別化にはある。この差別化の方法としてブランド化がある。たとえば、iPhoneという「破壊的イノベーション」が登場した時、携帯電話市場はフューチャーフォンからスマートフォンという新しい市場が創造された。その導入初期においては、iPhoneというブランドが顧客に新しいライフスタイルや価値を提供し、iPhoneを販売する携帯電話会社が他の携帯電話会社との差別化の要因となった。しかし、破壊的イノベーションが「持続的イノベーション」になり、サービスがコモディティ化した場合には差別化が困難となる。この場合には、プライシングによる低価格戦略を取ることもできる。たとえば、ソフトバンクが月額料金の引き下げを実施したとする。すると、NTTドコモauからソフトバンクに顧客が移動してしまう。したがって、NTTドコモauも月額料金の引き下げを実施し、顧客が移動しないようにする。そして、NTTドコモauソフトバンクが月額料金の引き下げの低価格戦略を実施することで3社とも利益が減り、「囚人のジレンマ」に陥る可能性があるのである。こうした価格差別が困難になると、また新しいサービスを提供する必要が出てくる。たとえば、ソフトバンクは携帯電話の契約者に対して牛丼やドーナツのクーポンを配信する等のサービスを始めた。このほか、携帯電話市場はMVNO仮想移動体通信事業者)の参入により、差別化の競争が激しくなることも予想される。


かつてない変化が激しい現在の世界において競争優位を築くためには、自社の優位性を見極め、他者との比較において相対的に優位な点を見極め、他社による模倣やそれを妨げる条件を考えておくことが必要になる。また、VUCAの環境(volatility〈変動幅が大きい〉、uncertainty〈不確実性〉、complexity〈複雑性〉、ambiguity〈曖昧さ〉)においては、戦略的実験によるアダプティブ型の「適応」によるアプローチも有効だろう。そして、今後の新たな競争パラダイムを超えるためには、IoTやブロックチェーン等の活用による破壊的イノベーションを開発することや、企業は戦略パレットに基づいてアプローチを選択し、領域(事業部門、機能、地域など)ごとに異なる戦略アプローチを組み合わせて経営を行なっていくことも求められる。

働き方改革とこれから

働き方について、たとえば11人のメッシ選手と11人の長友佑都選手のチームを考えた場合に、どちらが強いか。


これまでの日本企業の働き方は、走って走って24時間走れる長友佑都型の労働スタイルだったが、これからはメッシのようなスペシャルな選手のパフォーマンスを引き出すにはどうするか。しかし、メッシが11人いたとしても試合には勝つことはできない。

選手には得意なこと、不得意なことがあり、ゼネラリスト型やスパイク型の人材を組み合わせてチームの生産性を高める。一億総活躍社会における女性、若者、高齢者、障害者の活躍なども個人の可能性を引き出すことだと思います。


さらに試合における戦略は時間とともに変わり、ポジションチェンジや選手交代によるスーパーサブの投入、予測が難しいこと等への備えも必要だと思います。この戦略のためには流動性や柔軟性が必要であり、たとえば働き方では育児や介護をしながらでも働ける柔軟な仕組みや、さらには今後定時労働時間の概念なども変わっていくかもしれません。


これからの働き方についてみると、個人が輝くためにはもっと流動的で柔軟にしよう。

そして、仕事もプライベートも楽しめるようになることを期待したい。

「全員参加の社会」実現のための若年者雇用対策(未就職卒業者や中途退学者)〜ニッポンの雇用2.0〜

    日本の人口は、2008年の1億2,808万人(2010年国勢調査より)をピークとして減少に転じている。現状の出生率の水準が続けば今後も人口減少は続き、2050年には総人口が1億人を割り込み9,708万人、2060年には9,000万人を切ると推計されている(2015年版高齢白書より)。また、生産年齢人口(15〜64歳)は戦後一貫して増加を続け、1995年には8,726万人に達したが、その後減少局面に入り、2010年には8,173万人となった。そして2027年には7,000万人を割り、2051年には5000万人を割ると推計されている。
 このように、高度成長期における人口ボーナスの時代から少子高齢化が進展し働く人より支えられる人が多くなる状況、すなわち人口オーナスの時代においては次のような問題が生じる。まず、労働力や資本などの生産要素が制約を受けるため、経済成長率が低下する。これに対応するためには、少なくなっていく生産要素を最大限効率的に活用し、生産性を上げていくことや従来型の働き方の見直しが必要である。また、人口オーナスの状況を地域別に概観すると、地方部から大都市圏に就業機会を求めて生産年齢層が流出する。その結果、地方部の成長力が低下し、就業機会が生まれにくくなることで、更なる人口流出を招き、人口オーナスを強めるという悪循環に陥る可能性がある。
 こうした状況下ではあるが、我が国の経済は2013年に入って経済政策への期待等から株高が進んだこと等を背景に企業や家計のマインドが改善し、個人消費を中心に内需がけん引するかたちで持ち直しに転じた。さらに、2014年以降も景気は緩やかな回復基調が続き、雇用情勢も着実に改善するなど経済の好循環の動きが見られている。人口減少という制約の中においても、こうした経済の好循環の動きを拡大させ、安定的な成長を実現していくために、女性・若者・高齢者をはじめとした「全員参加の社会」の実現とともに、人的資本のポテンシャルを最大限発揮させることと、様々な分野における人材不足や地域が抱える課題に対して、積極的な雇用政策が求められる。
 これらを踏まえて、労働需給が逼迫する中で、労働供給を増加させ安定的な成長を目指す「全員参加の社会」の実現のための若年者雇用対策として、未就職卒業者や中途退学者を対象にニッポンの雇用2.0を検討する。

(1)現状と課題
 若年労働力人口(15〜34歳)は2014年で1,732万人であり、総労働力人口に占める割合は26.3%となっている。
 まず、労働供給の側である未就職卒業者や中途退学者の現状について、以下のとおり述べる。
   ①未就職卒業者
   就職希望者のうち、就職が決まらないまま卒業する者を「未就職卒業者」という。この未就職卒業者は、2015年には約3.1万人存在している。
 これまで未就職卒業者に対する取組として、厚生労働省文部科学省及び経済産業省による連携で「未内定就活生への集中支援」を実施している。具体的には、未内定の学生・生徒に「就職をあきらめさせない」ためのジョブサポーターと大学の就職相談員等との連携による個別支援の徹底、保護者を通じた未内定の学生・生徒への就職支援の周知、民間就職情報サイトによるジョブサポーター・新卒応援ハローワーク等の周知などを支援している。
 ②中途退学者
 学校等を中途退学した者を「中途退学者」という。中途退学者の総数は、全学生数(中途退学者、休学者を含む)2,991,573人のうち2.65%に当たる79,311人となっている(文部科学省「学生の中途退学や休学等の状況について」平成26年9月25日より)。
 これまで中途退学者に対する取組として、地域若者サポートステーションを活用した支援事業として「高校中退者等アウトリーチ事業」を実施している。これは、高等学校等と連携の下、進路の決まっていないおおむね1年以内の高等学校中途退学者(予定者を含む)を対象に、訪問支援担当のキャリア・コンサルタント等による自宅等への訪問支援(アウトリーチ)を実施し、学校教育から地域若者サポートステーションへの円滑な誘導を行い、切れ目のない支援を通じ早期の自立・進路決定を促すものである。
 なお、2015年9月11日の「勤労青少年福祉法の一部を改正する法案」の成立により、ハローワークが学校と連携して職業指導等を行う対象として「中退者」を位置づけることとなった。
 次に、高校・大学における未就職卒業者支援に関して(独)労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.81高校・大学における未就職卒業者支援に関する調査」を元に、以下のとおり述べる。
 ③未就職学卒者
 未就職卒業者について、高校における未就職卒業者及び大学における未就職卒業者に分けて調査されている。
(ア)高校における未就職卒業者
 (a)「進学も、就職も、一時的な仕事もしていない者」及び(b)「一時的な仕事に就いた者」を、職業への円滑な移行や進路が決定していない卒業者を広義の「未就職卒業者」とし、それぞれ(a)5.7%、(b)2.3%となっている。これが卒業者計に占める未就職卒業者の割合で全体の8.0%となっている。
 まず、未就職卒業者の進路については、(a)のうち「卒業時は就職希望で、現在も求職中」が13.9%、「進学希望で、受験浪人中」が37.0%を占めている。そして、(b)のうち「正社員に登用される見込みのある「一時的な仕事」」が12.4%、「正社員になる見込みはない「一時的な仕事」」が61.0%、「どのような仕事かは不明」が23.3%となっている。
 次に就職希望者がいた高校のうち、学校外の機関を活用したかという問いには、活用したという回答が64.4%を占めている。これらの高校に対して、どのような組織のどのような支援を活用したかをみてみると、支援機関別ではハローワーク厚生労働省・労働局を含む)であり、78.0%となっている。このうち内容別では、ハローワークのジョブサポーター、ハローワーク・労働局関連の合同面接会・説明会、ハローワークからトライアル雇用等を紹介される、サポステ等の活用に分類される。続いて、未就職卒業者等に対して実施している支援をみてみると、ハローワークなどの求職を支援する機関について教える、学校として進路相談を受ける体制を作っている、等が実施されている。
(イ)大学における未就職卒業者
 (c)「進学も、就職も、一時的な仕事もしていない者」及び(d)「一時的な仕事に就いた者」を、職業への円滑な移行や進路が決定していない卒業者を広義の「未就職卒業者」とし、
それぞれ(c)15.8%、(d)3.4%となっている。これが卒業者計に占める未就職卒業者の割合で全体の19.2%となっている。
 まず、未就職卒業者の状況については、(c)のうち「現在も求職中である」が39.8%となっており、これは卒業者に占める割合にすればおよそ1割弱となる。なお、(c)約2割は「公務員や教員、資格試験の準備中」の者であり、また5%程度が「留学や大学院等への進学準備中」の者であった。そして、(d)のうち、「正社員に登用される見込みは特にない「一時的な仕事」」が69.9%と7割程度となっており、「正社員に登用される見込みのある「一時的な仕事」」が20.8%と約2割となっている。
 次に未就職卒業者の特徴をみてみると、「就職活動をスタートするのが遅い」「自分の意見や考えをうまく表現できない」「教員や職員にほとんど相談しない」「何をしたらいいかわからない」「エントリーシートが書けない」などが多い。また、未内定学生が会社・仕事選択に当たって重視する基準については、地域条件、企業の知名度、企業の業種、仕事内容が「こだわり」となっていることがみられる。
 さらに、未就職卒業性に対する卒業時・卒業後の支援をみてみると、9割の大学が卒業後も学校として就職相談を受ける体制を整えており、また7割が卒業後も情報収集できるように配慮していた。これに対して、卒業前に、学生職業センターなどの就職支援機関について、個々に教えている大学は6割弱であり、新卒者向けの職業体験や職業訓練の制度について、個々に教えている大学は4割台にとどまっている。
 また、就職支援・キャリア形成支援に関する問題点、必要な施策について求めた意見結果を述べる。就職支援等に関する問題点・必要な施策は、学生の意識啓発やキャリアガイダンス等の支援の必要性の割合が多くなっていることや、個別相談・心理的支援の必要性などを指摘する割合が高かった。
 続いて、大学等中退者の意識等について(独)労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.138大学等中退者の就労と意識に関する研究」を元に、以下のとおり述べる。
 ④中途退学者
 まず、中退を決めるまでの相談相手としては、親・保護者が79.3%と最も高く、学校の教職員・カウンセラーや学校内外の友人が2割台でそれに続いている。誰にも相談しなかった者は全体の12.5%で、大学中退者でその割合は高い。次に中退理由をみてみると、「勉強に興味・関心が持てなかったから」が49.5%と最も高く、「経済的に苦しかったから」は3割弱となっている。また、最も重要な中退理由としては、「学業不振・無関心」を挙げるものが4割以上と高く、「家庭・経済的理由(妊娠・出産を含む)」と「進路変更」がそれに続いている。さらに、中退後の就職活動の状況をみてみると、ハローワーク利用の経緯は、「親」「友人」で6割近くを占め、特に「親」という回答が多かった。中退時には「正社員として就職したい」と半数近くの中退者が考えているが(46.6%)、実際に正社員として就職するための準備をした者は3割にとどまり(32.1%)、アルバイトを探したり(31.8%)、アルバイトを継続した(27.3%)などの行動が多くみられる。
 これまで労働供給の 側である未就職者及び中途退学者の現状等について述べたが、次に労働需要の側である企業の面から採用の現状等を分析することとする。
(一社)日本経済団体連合会による新卒採用(2014年4月入社対象)に関するアンケート結果は、以下のとおりである。
 (ア)採用選考にあたって特に重視した点
 コミュニケーション能力(82.8%)が最も高く、続いて主体性(61.6%)、チャレンジ精神(52.9%)、協調性(48.2%)、誠実性(40.3%)の順に高くなっている。
 (イ)採用選考にあたって学業成績の重視について
 やや重視している割合が最も高く(48.5%)、あまり重視していない(22.6%)、どちらともいえない(20.1%)と大きく差をつけている。
 (ウ)既卒者の採用について
 既卒者の応募受付は、既に実施している割合が69.2%となっている。また、既卒者採用の形態としては、新卒採用の扱いで実施する割合が84.0%となっており、中途採用の扱いで実施する割合は1割弱(9.5%)となっている。さらに、応募受付の条件としては、卒業後3年以内であることの割合が最も高く55.4%となっており、正社員としての就業経験がないこと(42.3%)、特に条件なし(25.7%)に大きく差をつけている。
 (エ)大学が実施する学内セミナーへの参加状況
 学内セミナーへの参加状況について、91.4%が「参加したことがある」となっている。また、「今後、参加回数を増やしていきたい」とする回答企業の割合は、63.9%となっている。

(2)検討・考察
 景気の緩やかな回復基調が続き、雇用情勢も着実に改善が進んでいる(2015年11月の完全失業率は3.3%(18年ぶりの低水準)、有効求人倍率は1.25倍(23年ぶりの高水準))。しかし、正社員有効求人倍率は過去最高水準であるが、依然として0.79倍と雇用の質が課題であり、また介護、保育、看護、建設などの分野では人手不足感が強まっている。このため「全員参加の社会」を実現し、日本経済のさらなる安定的な成長のため、未就職卒業者や中途退学者が労働市場に参入できるような取組が求められる。
 そして、この取組のためには前述(2)で述べたような、労働供給の側である未就職卒業者と中途退学者の現状及び課題等と労働需要の側である企業の採用における現状等のマッチングを高めることが、労働供給を増加させ、人口オーナス時代における「全員参加の社会」の実現による安定的な成長につながると考えられる。
 まず、労働需要の側である企業の採用では、コミュニケーション能力の重視や学業成績をやや重視するという結果が出ており、労働供給の側である未就職卒業者や中途退学者が就職機会を確保するためには、若者の適職選択や能力の有効な発揮を可能とする環境を整えることが求められる。
 たとえば、未就職卒業者については、高校・大学いずれも「進学も、就職も、一時的な仕事もしていない者」の割合が高く、この者は「求職中である」が多くなっている。そして、未就職卒業者の特徴として、「就職活動をスタートするのが遅い」「教員や職員にほとんど相談しない」「何をしたらいいかわからない」「エントリーシートが書けない」などがある。このため未就職卒業者については、就職支援の周知、個別支援による対策などが考えられる。次に中途退学者については、最も重要な中退理由として「学業不振・無関心」があるため、学業継続を支える基礎学力や大学等による学習支援が重要である。また、学習支援に代わるものとして、職業訓練等を実施することも考えられる。この職業訓練等の実施は、中退時における「正社員として就職したい」というニーズに応えるものでもある。さらに、「相談・サポート体制の充実」、「支援機関や相談機関の周知や拡充」など、更なる情報発信も求められる。
 いずれにしても未就職卒業者や中途退学者の就職機会の拡大のためには「エンプロイ・アビリティ」の強化が必要であり、このためには就職希望者に対して有益な情報提供をすること、及び職業訓練を実施し、労働供給と労働需要のマッチング機能を高める必要があると考える。

 

未完成版ですが…

公的機関における仮説思考とは

仮説とは、ある現象を理論的に統一して説明するために立てられた経験科学上の仮定と定義される(大辞林より)。そしてビジネスにおける仮説とは、あるテーマや論点に関する「仮の答え」、例えば「AをすればBになるだろう」などである。この「仮の答え」を検証するためにはリサーチや分析による状況証拠を集め、説得力を高める必要がある。
公的機関における仮説とは「国や自治体における将来予測」、すなわち国民の生命や財産を保障するための政策課題とは何か、公共の福祉を増大するためには何が必要か、例えば労働政策として失業率を下げるためには何が必要か、労働者の賃金を上げるためにはどうするか、地方創生や女性の活躍のためには働き方をどうするか、などである。公的機関は前例踏襲、繁文縟礼になることが多く、また公的機関への批判として前例踏襲もあり、前例という事実を踏まえつつ、さらに仮説を立て国民や住民にとって何が重要であるか、打ち手の精度を高めることが重要な戦略であると考える。

公的機関に限らず大企業一般の業務の進め方として、縦割り主義、すなわちセクショナリズムが言われることが多い。例えば、SONYにおいてカンパニー制を採用したところ、各事業部が近視眼的に自己の事業部の利益を追求するあまり、事業部毎の横の連携がなくなりセクショナリズムの強化に繋がったとの評価もある。また成果を追求するあまり個人主義的働き方になること、危険回避型の働き方になり失敗をしないことが評価に繋がる、そのため前例踏襲になり易くなる。また組織には経営理念があり、その下にビジョン、そして全社戦略がある。公的機関においては経営理念とは、例えば政府方針であり、その下に時代状況に応じた各省庁の国家戦略、そして各省庁や自治体における政策課題がある。国会と行政における抑制と均衡、さらに各省庁における権限争い、また省庁内における各部局での摩擦、さらに国民等のステークホルダーにおける対立が公的機関の課題であり、政策を実現するために困難となる。

上述の課題を乗り越えるためには、前例というファクトに基づきつつ、さらに仮説思考の重要性を高める必要がある。この仮説思考のためには、現在国にとって何が課題であるかの仮の設定をする。そしてどこに問題があるのか、なぜ問題が発生しているのか、それではどうするかを考える。また、仮説の説得力を高めるためにはリサーチや分析により状況証拠を集めることも必要である。つまり世論調査住民投票ソーシャルネットワークサービスなどを活用し、KSF(Key Success Factor)とは何かを考えることも重要かもしれない。
国会と行政、そして世論における相互の信頼関係を構築することがセクショナリズムの回避に繋がる可能性もあり、このためにはファクトベース思考と仮説思考を組み合わせること、コミュニケーションの説得力を高める必要がある。公的機関における課題とは何かを考え、修正を繰り返すことで打ち手の精度を高めること。さらに業務は相互間のコミュニケーションを通じて行われるため、仮説とパッションを持ち続けることがこれからの公的機関の職員には重要であると考える。

 

戦略、マーケティングとは

    戦略には経営戦略や事業戦略があり、全社戦略は企業の持続的競争優位を確立するための基本的な考え方であり、事業戦略は単独の事業がそのドメインの中で競争優位を確立するための方針を指す。そして戦略には階層があり、経営理念があり、その下に経営ビジョン、全社戦略、事業戦略、実行計画がある。
    公的部門において、上述によると例えば全社戦略は国の持続的成長及び国民の生活や福祉の向上を図ること、事業戦略は各省庁における各専門領域での政策を実現することである。そして経営理念とは、政府の方針に従って各省庁が国益を優先すること、経営ビジョンとは各省庁が国民の生活や福祉の向上を図るための政策を立案することなどかもしれない。しかしながら全社戦略と事業戦略は各部門でのコンフリクトが発生することもあり、これがセクショナリズムの原因となる場合もある。これがいわゆる「国益ではなく省益」を追求する原因であるかもしれない。この各省庁における権限争いなどが政策実現のための困難さの要因のひとつであると考える。
 このため、各省庁及び省内におけるセクショナリズムを減らすことが国益に繋がる政策を実現することのひとつになるのではないかと考える。そしてよりよい政策実現のためには、より「国民の視点」を持つことも重要であると考える。

    そしてコンフリクト、つまりセクショナリズムを減らすための手法の一つとして、例えばマーケティング戦略がある。マーケティング戦略とは、外部/内部環境分析により市場機会の特定を行い、セグメンテーション(市場細分化)・ターゲティング(標的市場選定)をする、さらにポジショニングを決め、マーケティング・ミックス(4P)により立案・実行する。さらに実効とモニタリングによるPDCAサイクルを回すことにより改善と修正を繰り返し、市場(顧客)や競合の外部環境と自社の強みや弱みという内部環境を発見することで、さらなる戦略の精緻化を図ることとなる。また環境分析の際にはKBF(Key Buying Factor)やKSF(Key Success Factor)によりニーズを把握することが重要である。
 公的部門におけるマーケティング戦略とは、都市や地方における対立や、さらに企業数や人口、また年齢などによりセグメンテーションが分けられ、高齢者あるいは若年者に向けポジショニングを決めるのか、地方創生と言われる中でKBFやKSFは何かを見つけて、限られた予算で、効果的な政策を打ち出すための戦略である。
 そして顧客ニーズ把握とマーケティングリサーチのためには、始めに課題を設定し、仮説を立てることが重要である。公的部門における課題とは、例えば経済成長や人口減少社会、さらには超高齢社会、また近年では雇用問題や防災対策も重要であるかもしれない。これらや、また他の課題の中から国民のニーズを把握するためのリサーチの手法として、世論調査憲法上保障された住民投票などがあるかもしれない。また「新しい公共」が言われる中で、熟議民主主義を実現するための手法として、ジェイムズ・フィシュキンの著書『人々の声が響き合うとき』では新しい世論調査が提案されている。熟議民主主義を実現することや、近年のソーシャルネットワークなどを活用したマーケティング戦略を行うことで、セクショナリズムを回避し、より国民に近い政策が実現できると考える。
 公的部門はシビル・サーバントであること、政府債務や様々な課題を抱える中で政策を実現するためにはコストベネフィット等を意識し、予算制約のある内でより効果的な政策を打ち出す必要性、このためにはマーケティング世論調査などをさらに活用すること、多様性の中の課題を一般化することが重要であると考える。

【791日目】大魔道杯in聖サタニック女学院 結果

エアKです。
大魔道杯in聖サタニック女学院における結果のご報告です。

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総合結果は5488位。
無事、25000位以内に入り総合ランク報酬を獲得。

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これで昨年の魔道杯神話におけるフラクタルさんから連続での獲得になります。
次回の総合ランク報酬も来月の楽しみだな。